近年一般住宅を狙った「空き巣」「強盗」などの犯罪は、大胆で凶悪になっています。
気づかれないようにこっそり侵入する空き巣だけでなく、在宅の有無にかかわらず数人で窓やドアを破壊するなどして堂々と住宅に押し入る犯罪も少なくありません。
また、宅配業者や点検業者と偽って屋内に侵入して金品を奪うなど、その手口は巧妙で凶悪化しています。
そこで今回は、そんな空き巣や強盗から、大切な財産や命を守るために、住宅の中でも特に戸建て住宅の防犯対策について焦点をあててお話ししたいと思います。
住宅の侵入窃盗による被害状況
警察庁の統計では、空き巣などの侵入窃盗の発生件数は年々減少傾向にあります。
2009年の侵入窃盗認知件数は148,772 件、2022年の侵入窃盗認知件数は36,588件で、比較すると実に1/4以下になっていますが、決して少ない数字ではありません。
さらに、凶器などで住人を脅して金品を強奪する「住宅を対象とした侵入強盗」では、2005年以降は減少傾向でしたが、2022年には増加に転じています。
空き巣や窃盗犯はどうから侵入するのか
警察庁が令和4年に公表した「侵入窃盗の侵入口」を見ると、一戸建てを含む住宅全般で、「窓」と「表出入口」からの侵入が全体の7割以上で、戸建て住宅では「窓」の割合が、共同住宅では「表出入り口」の割合が高くなっています。
侵入窃盗における侵入口の構成比(令和4年)
窃盗犯の侵入手口について
警察庁による侵入窃盗の手口を、住宅の形状別に見ると、上位3つは「無締まり」「ガラス破り」「合鍵」になっています。
1位 | 2位 | 3位 | |
一戸建て住宅 | 無締り (6,187件) |
ガラス破り (3,710件) |
合い鍵 (370件) |
共同住宅(3階建て以下) | 無締り (1,475件) |
ガラス破り (515件) |
合い鍵 (338件) |
共同住宅(4階建て以上) | 無締り (644件) |
合い鍵 (373件) |
ガラス破り (179件) |
無締まり(鍵のかけ忘れ)
戸建て住宅を含む住宅全般で圧倒的に多いのは、鍵の掛かっていない箇所からの侵入(無締まり)です。
それだけ日常生活での「鍵のかけ忘れ」「戸締りの不徹底」が多いということになります。
どんなに強固な建具を使用していたとしても、施錠していなければ何の役にも立ちません。
ゴミ出しや庭の手入れなど、たとえ少しの間でも、油断することなく施錠することを心がけましょう。
ガラス破り
鍵のかかっていない場所からの侵入(無締り)の次に多い手口が、ガラス破りです。
ベランダなどの窓ガラスを破壊し、割れた箇所から手を入れて鍵を開けて侵入する手口で、通常のガラスであれば数秒で解錠されます。
網入りガラスでも同様で、「網」は侵入防止には効果はありません。
不在時には雨戸を閉める、窓に補助錠を付ける、防犯フィルムを貼るなどの防犯対策が有効です。
合鍵
合い鍵による侵入も少なくありません。
鍵を玄関の周りや郵便受け、植木鉢の下など「秘密の場所」に隠したつもりでいても、犯罪を犯す侵入者には見抜かれてしまいます。
絶対に家の外に合い鍵を置かない、隠さないようにしましょう。
ドア錠こじ破り
バールなどの工具をドアと壁の隙間に入れるなどして、強引にドア錠を壊してこじ開ける手口で、通常のドアや錠であれば、この方法によって短時間で破られてしまうケースがほとんどです。
ピッキング
テレビ番組などで聞いたことがある「ピッキング」は、ピックと呼ばれる金属製の特殊工具を鍵穴に入れてドア錠開ける手口で、プロなら1分も掛からず開錠してしまいます。
ピッキング対応の錠を採用し、簡単には解錠できないようにすることも効果的です。
サムターン回し
サムターンとは、ドアの鍵を室内側から施錠・解錠するためにつけられたつまみです。
ドリルを使ってドアそのものに穴を開けるなどして、外からつまみを操作して侵入します。
防犯意識を高めて住まいや環境に合った防犯対策を
住宅への侵入犯罪被害は、いつ起こるか予測ができません。
また、ITの発達により、今後ますます犯罪の手口も巧妙になってくることが予測されます。
大切な命や財産を守り安全に暮らすためには、高い防犯意識と正しい防犯知識を持つことが大切です。
習慣にしたい自主防犯行動
1. 家に居る時でも、玄関や勝手口などの出入口、人のいない部屋の窓などには、常に鍵を掛ける。
2. 訪問者が合った場合でもすぐにドアを開けず、まずドアスコープ(覗き窓)やインターホンのモニターやマイクなどで確認する。
※宅配業者の訪問を偽装した手口には、宅配ボックスの活用など荷物を直接受け取らない方法を選択しておく事も効果的。
3. 外出先から帰宅した場合、鍵を開けて家に入る前に、背後や周囲に不審者がいないか確かめる。
1. 合鍵が不正に作られてしまう場合もあります。
「鍵」そのものを、家族(同居人)以外の人に見せたり、貸したりしない。
写真や動画に撮らない。また、鍵の写りこんだ画像を共有、拡散しない。
2. 自宅に必要以上の現金を置かない。
電話などで在宅状況、家族の状況、資産状況を聞かれても答えないこと。
3. SNSなどで、家が留守であることや、不在の時間帯など明らかに生活パターンがわかるような投稿は避ける。
4. 旅行など長期不在にするときは、隣近所へ声を掛け、郵便物・新聞などの配達を止める。
万全な防犯対策を行うために
政府広報では、住宅の防犯対策として、次の対策を推奨しています。
2. 玄関をツーロックにする、窓に補助錠を取り付けるなど、防犯設備を充実させる。
3. 建物部品を選ぶときは、防犯性能の高いものを選ぶ。
4. 設置した防犯設備機器を正しく使用し、有効に役立てる。
ただし、これら全てを整えるためには、手間やコスト、専門知識も必要になります。
「防犯を強化したい」「高齢になった両親の家の防犯が心配」などというお声も多く頂戴する丸清では、年々巧妙化する手口に対してさらに対策する必要があると考え、防犯設備に関する専門的な知識・技能を持つ「防犯整備士」が家づくりや、お客様の防犯対策をサポートすることになりました。
防犯整備士とは、防犯設備に関する専門的な知識・技能を持って、防犯設備の設計、施工、維持管理及び防犯診断に関する業務を行う「防犯の専門家」です。
専門家の観点から、警察や自治体などの関係機関・団体と連携しながら、お住まいの地域や立地条件に合ったアドバイスを行いますので、安心してお家の防犯についてご相談ください。
✓ 2022年の侵入窃盗認知件数は減少傾向にあるが、住宅の侵入強盗は増加している。
✓ 侵入犯罪の手口は、巧妙で凶悪化している。
✓ 空き巣などの侵入窃盗では「鍵の開いている箇所」からの侵入が最も多い。
✓ 予測不可能な侵入犯罪に備えるためには、高い防犯意識と正しい防犯知識を身につけることが必要。